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2025.09.21

オーストラリアの飲酒検問(RBT)2025年情報ガイド

オーストラリアでは飲酒運転の取り締まりが非常に厳格です。その中心的な手段が飲酒検問と呼ばれるランダム呼気検査(Random Breath Testing, RBT)です。警察は運転中のドライバーに対し予告なく呼気中のアルコール濃度検査を実施し、法律で定められた基準を超える飲酒運転者には厳しい罰則を科します。本記事では、オーストラリアにおけるRBTの最新情報や制度、州ごとの法律や罰則の違い、現地で運転する旅行者・在住者が知っておくべき注意点とアドバイスを詳しく解説します。

RBT(ランダム呼気検査)とは?最新の取り締まり状況

RBT(ランダム呼気検査)とは、警察官が運転中のドライバーを無作為に止めて呼気中のアルコール濃度を測定する制度です。オーストラリアでは1970年代から導入が始まり、世界に先駆けて飲酒運転死亡事故の減少に大きく貢献してきました。現在では「すべてのパトカーが移動式の検問所」と言われるほど徹底しており、違反行為がなくても警察はいつでもどこでもドライバーを停止させて検査できます。実際、オーストラリア全土で年間約1,500万回もの飲酒検査が行われており、主要都市では運転中に検問に遭遇するのは珍しいことではありません。

 

RBTの手順は簡単で、停止を指示されたドライバーは警察官に免許証を提示し、その場で携帯型の呼気検知器に息を吹きかけます。数秒以内に血中アルコール濃度(BAC)の推定値が表示され、基準値を超えていれば正式な検査のため警察署へ同行となります。短時間で多数の運転手を検査できるため、週末の夜やホリデーシーズンには主要道路で一斉検問(いわゆる「ブーズバス」)が実施されることもあります。また近年では飲酒だけでなく薬物検査(MDT: Mobile Drug Testing)も並行して行われる場合があり、こちらも強化が進んでいます。

 

ポイント: RBTはドライバーにとって日常的な光景であり、「いつでもどこでも検問に遭遇しうる」という前提で行動することが大切です。旅行者や慣れない在住者の方も、「自分は大丈夫」と油断せず、常にシラフでハンドルを握る習慣を心がけましょう。

飲酒運転の法律と基準:罰則はどれくらい厳しい?

オーストラリアでは飲酒運転(Drink Driving)は刑事犯罪として扱われ、違反すると罰金・免許停止・刑務所収容など厳しい罰則の対象になります。法律上認められる血中アルコール濃度(BAC)の上限は州やライセンスの種類によって若干異なりますが、一般的なフルライセンス保持者は0.05%未満が全国共通の基準です。一方、**Learner(仮免許)やP1/P2(初心運転者)はBAC 0.00%**が要求され、これらのドライバーは一滴でもアルコールを口にして運転してはいけません。このように日本より数値上は緩やかな基準にも見えますが、基準を超えた場合の罰則は極めて重く、一度でも摘発されれば前科が残ることもあります。

検問で陽性反応が出たらどうなる? RBTでの簡易検査で基準値超過が疑われると、警察署やその場に用意した機材で正式な呼気もしくは血液検査が行われます。正式検査でも違反が確認されれば、その場で**逮捕(身柄拘束)となり、後日法廷で起訴されます。多くの州では、違反の程度に応じて「低範囲(Low Range)」「中範囲(Mid Range)」「高範囲(High Range)」とBAC濃度を分類し、それぞれに応じた罰則が定められています。例えばニューサウスウェールズ州(NSW)**では以下のような区分と罰則があります。

  • 低範囲飲酒運転(Low Range, BAC 0.05–0.079%): 現場での罰金通知約572豪ドル(※2023年時点では$603)、即時免許停止処分(3ヶ月程度)。起訴後は最大2,200豪ドルの罰金および3〜6ヶ月の免許失効が科されうる。初犯であれば懲役刑は通常ありませんが、前科(犯罪記録)が付きます。

  • 中範囲飲酒運転(Mid Range, BAC 0.08–0.149%): その場で免許停止。裁判で有罪になれば最大2,200豪ドルの罰金、最長9ヶ月の懲役刑、最低6ヶ月以上の免許失効などが科されます。また**アルコール・インターロック(Alcohol Interlock)**と呼ばれる車両への飲酒ロック装置の装着命令も課され(一定期間、車を運転する際はハンドルを握る前に自分で呼気検査を行いクリアしないとエンジンがかからない装置)、飲酒運転再発防止プログラムへの参加も義務付けられます。

  • 高範囲飲酒運転(High Range, BAC 0.15%以上): 重大犯罪扱いとなり、起訴後は最大約3,300豪ドルの罰金、最長18ヶ月の懲役刑が科される可能性があります。免許取消期間も長期(最低12ヶ月以上〜最大無期限)となり、アルコール・インターロック装置の装着義務も課せられます。再犯の場合はこれらがさらに引き上げられ、NSWでは高範囲の再犯で最長2年間の懲役刑まで想定されています。

州ごとの主な違い: オーストラリアは各州・準州ごとに道路交通法が制定されているため、飲酒運転の処分も州によって細かな違いがあります。基本的な考え方やBAC制限は共通ですが、罰金額の上限や免許停止期間、即時処分の有無などに違いが見られます。以下に主要な州の特徴を紹介します。

ニューサウスウェールズ州(NSW)

NSW州はオーストラリアで人口が最も多い州であり、飲酒運転への取り締まりも非常に厳しいことで知られます。前述のように低範囲であってもその場での免許即時停止と罰金通知が科されるのが特徴で、2019年の法改正以降、たとえBACが0.05台の「低レベル」でも最低3ヶ月の免許停止と約560豪ドルの罰金が即時に言い渡されるようになりました(改正前は0.08以上でないと即時停止になりませんでした)。これは「どんなレベルでも飲酒運転は許さない」という州政府の非寛容方針の表れです。

 

裁判所で科される処分も厳しく、初犯でも前述の通り高額な罰金や長期の免許停止処分が科せられます。特に高範囲(0.15超)では即時免許取り消しとなり、裁判所での有罪確定後は自動的に5年間の免許失格(裁判所が特段減免しない限り)といった非常に重い処分もありえます。また5年以内に2回以上の飲酒運転有罪歴がある場合、再取得の際に運転知識試験(筆記試験)の合格を義務付けるなど、再犯者への追加措置も取られています。

ビクトリア州(VIC)

ビクトリア州も飲酒運転撲滅に熱心な州の一つで、処分内容に特徴があります。ビクトリア州では初犯であっても違反後に一律で免許取り消し(取消=要再取得)となり、一定期間の運転禁止処分を科した上で、再び運転する際には必ずインターロック装置の装着が義務付けられる点が大きな特徴です。たとえばBACが0.05をわずかに超えた程度(0.05–0.069%)のケースでも、少なくとも3ヶ月の免許取消・停止処分となり、その後最低6ヶ月間はインターロック装置付きでしか運転復帰できません。さらに違反者向けの講習プログラム(Drink Driver Behaviour Change Program)の受講も義務となります。

 

またVIC州では21歳未満や取得2年未満の若年ドライバー、および職業運転手等に厳格なゼロBAC条件を課しており(該当者は0.00%を超えるだけで違反)、一般のフルライセンス保持者でも26歳未満の場合は0.05未満であっても処分対象になるケースがあります。他州に比べ処分の細分化が細かい傾向にあり、違反時の罰金額も罰則ユニットという指数で算出され高め(2024-25年は1ユニット=197.59豪ドル)に設定されています。全体として「一度でも飲酒運転をすれば、手痛い代償と長期の再発防止措置が待っている」州といえます。

クイーンズランド州(QLD)

クイーンズランド州もまた独自の取り組みがあります。同州では飲酒運転で逮捕された時点で、BACが0.10以上だった場合は裁判を待たず即座に免許を停止できる制度があり、高濃度の違反者が免許を持ったまま公道に出続けることを防いでいます(0.10未満でも一時的に24時間の免許停止処分が科される)。初犯時の科せられる罰則は他州と概ね同様ですが、法律上の上限値として最大約12ヶ月の免許停止、最大約3,200豪ドルの罰金、最長9ヶ月の懲役が規定されています。さらにBACが0.15%以上だった場合は、刑罰に加えて免許停止明けから最低12ヶ月間、車にインターロック装置を装着することが義務付けられます。これは高範囲の飲酒運転常習者に対する再犯防止策で、装置の設置・維持には相応の費用と手間がかかります。

 

なおQLD州では、再犯者に対する措置として車両の押収・没収も法律で認められています。例えば呼気検査の要求に応じなかった(検査拒否)場合や、極めて悪質な酩酊運転の場合には、一定期間車両を差し押さえられるか没収されることすらあります。地方部が広いQLDならではの厳格な抑止策と言えるでしょう。

その他の州・準州

上記以外の州(西オーストラリア州や南オーストラリア州、タスマニア州、首都特別地域ACT、ノーザンテリトリーNT)でも、飲酒運転に対する厳しさは同様です。例えば西オーストラリア(WA)州では高範囲違反者(0.15%以上)にインターロック装置装着を義務付ける制度を導入しています。南オーストラリア(SA)州でも初犯から免許取消・罰金刑を科し、再犯には車両の押収や長期の免許停止など強い措置がとられます。いずれの地域でも、飲酒運転は重大な犯罪行為であり、処分を科されれば日本の「前科」に相当する犯罪記録が残る点に注意が必要です。オーストラリアに滞在する限り、どの州にいても「飲酒運転は絶対にしない」という強い意識が求められます。

飲酒検問での注意点:拒否は可能?旅行者はどうなる?

警察の呼気検査の要求は法的な命令であり、これに応じる義務があります。「検査を拒否したらどうなるか?」 ― 結論から言えば、検査拒否そのものが違法です。RBTの実施においてドライバーには協力義務が課されており、正当な理由なくこれを拒めば各州の法律で飲酒運転と同等かそれ以上の罰則が科されます。例えば「自分は飲んでいないから必要ない」などと拒否すると、それだけで高額な罰金と違反点数の付加を受け、場合によっては免許停止や逮捕の対象となります。さらに警察官は令状なしで呼気もしくは血液検査のために連行する権限を持っており、現場での拒否は結局警察署での強制的な検査に切り替わるだけです。要するにその場での検査拒否は何のメリットもなく、状況を悪化させるだけなので、決して行わないようにしましょう。

 

旅行者や外国人ドライバーの場合: オーストラリアでは居住者であれ観光など短期滞在者であれ、道路交通法は一様に適用されます。国際運転免許証や現地の一時的な運転許可で運転している旅行者でも、飲酒運転が発覚すれば地元民と同じプロセスで逮捕・起訴されます。当然ながらその場での免許停止処分は「オーストラリア国内での運転資格停止」という扱いになります。日本に帰国すれば日本の免許は使えますが, オーストラリアで一度処分を受けた場合、将来的に再度オーストラリアで運転する際に支障が出る可能性があります。重い違反で有罪になった場合はビザにも悪影響が及ぶケース(永住権申請等への不利益など)も報告されています。またレンタカー利用中の違反であれば、レンタカー会社に警察から通達が行き、契約違反として高額なペナルティ金を請求される場合もあります。

 

検問に遭遇した際の心構え: 落ち着いて速やかに指示に従いましょう。車を安全な場所に停車し、エンジンを止めてハザードランプを点灯します。警官が来たら挨拶して免許証(国際免許証や公的日本語翻訳付き免許証)を提示し、質問に簡潔に答えます。アルコール検査について指示があれば、「1から10まで数えて」といった要領で息を吹きかけるだけです。所持品検査や車両検査を求められた場合も、基本的には協力してください(理由なく拒むと別件での違反を疑われかねません)。飲酒さえしていなければ恐れる必要はまったくありませんので、自信を持って対応しましょう。

旅行者・在住者へのアドバイス:飲酒運転を避けるために

異国の地での運転は不安も多いですが、飲酒運転に関しては「絶対にしない」という強い意志と事前準備が何よりの安全策です。以下に旅行者や在住者が飲酒運転を避けるための具体的なポイントをまとめます。

  • 最初から運転しない計画を立てる: パーティーや飲み会の予定がある日はあらかじめ車以外で移動するプランBを用意しておきましょう。例えば最初から公共交通機関やタクシーで行く、帰りは代行運転やUberを手配する、飲酒する日は車を使わない日程にする等です。事前に代替手段を決めておけば、酔った後に判断力が鈍っても安全に帰宅できます。

  • ハンドルキーパー(デソ)を決める: 複数人で出かける場合は**「今日は飲まない運転役」を持ち回りで決めるのも有効です。オーストラリアでもDesignated Driver**(略称: deso〈デソ〉)の文化が定着しており、交代で仲間の送り役を引き受けることで全員が安全に楽しめます。誰か一人でもシラフでいれば、検問に遭っても安心です。

  • 飲酒量を自己管理する: 自分は大丈夫と思っても、アルコールの回り具合は体調や空腹具合で変わります。パブやクラブには無料で使えるアルコール検知器が設置されている所もあるので活用しましょう。市販の個人用ブレス検知器を携帯するのも有効です。ただし機器に頼りすぎず、「飲んだら乗らない」を絶対ルールにしておくのがベストです。

  • 代行サービスや宿泊の検討: 夜遅くまで飲む予定なら、運転代行サービス(州によっては提供あり)やその場に宿泊することも視野に入れましょう。特に地方ではタクシーが少ないこともあるため、飲酒の可能性がある際は宿泊施設をあらかじめ予約しておくと安心です。

  • 車両保険にも注意: 万一飲酒運転で事故を起こした場合、自動車保険は適用外となるのが通常です。運転者に過失がある事故でも保険金が下りないどころか、対人・対物の莫大な賠償責任を自腹で負うリスクがあります。レンタカーの場合も契約違反で保険無効となります。経済的にも人生を大きく狂わせかねませんので、絶対に避けてください。

最後にもう一度強調しますが、オーストラリアでは飲酒運転に「うっかり」や「つい出来心」は通用しません。警察のランダム検問強化策により、飲酒運転は確実に捕まるという前提で行動すべきです。運転する可能性がある日は一切アルコールを口にしないことが、安全で楽しい旅行・生活を送るための鉄則です。

まとめ:安全運転と事前準備で快適なオーストラリア生活を

オーストラリア各州の厳しい飲酒運転規制とRBTの実施状況、そして違反時の深刻な罰則について解説しました。ポイントを整理すると、「法律上は少量の飲酒が許容されているように見えても、実際には取り締まりが非常に厳しく罰則も重い」ということです。特に日本人旅行者や移住者にとっては、土地勘のない場所での運転だけでも注意が必要ですが、そこに飲酒のリスクが加わると途端に危険度が跳ね上がります。幸い、公共交通や配車サービスが発達している地域も多いので、車がなくても移動手段は確保できます。**「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」**の当たり前のルールを徹底し、オーストラリアでのドライブを安全に楽しんでください。


オーストラリアの道路交通法や飲酒運転に関するルールは年々アップデートされており、最新の法律改正や取り締まり情報に注意を払っておくことがとても大切です。

ちなみに、ラウンドアバウト・オーストラリアが運営する車のサブスリクションレンタルサービス「カブスク」では、現地で運転する方のために、交通ルールや保険、整備、トラブル対策など車に関わる情報を日本語のブログで定期的に発信しています。

旅行や長期滞在で車を使いたい方、安全にオーストラリア生活を楽しみたい方は、ぜひカブスクのブログをチェックしてみてください。

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